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2005年 03月 28日
7213年6月に集結した第二次ミヨイテ戦役の約1ヵ月後、ギルガメス戦略宇宙軍・惑星ミヨイテ弟23方面軍プランバンドール機甲大隊弟8中隊シュエップス小隊及びメロウリンク・アリティ伍長被告(以下メロウリンク)を「敵前逃亡」及び「軍の重要戦略物資(ジジリウム)強奪」として審理したメルキア軍事略式裁判が行われた。
法廷は、検察、弁護側立証後の審理中にヘルメシオン准将から裁判長宛にかかってきた1本の電話で有罪判決となるという異例(*1)の結審となった。 被告、検察側の最終論告は以下の通りである。 弁護側最終論告 「シュエップス少尉は、大隊本部による無謀な作戦を、ギルガメス宇宙軍 軍規第185条 指揮系統法37項 命令解脱に対する抗告の権利を主張。作戦を遂行するにあたり将兵の生命維持係数10%を割ると推定される作戦に限り遂行責任者は抗告の権利が保留されることを告げ承服できないと反論。しかし本隊本部の命令を承服しないということで、装甲騎兵の任を解かれ機甲猟兵として再編されてしまった。これは、プランバンドール大隊が撤収するための囮り作戦としての周到な計画である。そもそも停戦が予定されていた時期に、撤退すること自体不可思議な作戦であり司令部と重要物資隠匿の因果関係を憶測せざるえない。小隊は、この無謀な命令のためバララント機械化師団により壊滅まで追い込まれる結果になった。そん中、敵前逃亡はおろか重要戦略物資の強奪などできるはずがないのである。以上、全ては大隊本部が巧妙に仕組んだ罠であり被告は無実である。」 検察側最終論告 「被告人達は、軍の作戦に強い不満を持ち、機甲猟兵の再編を深く恨んでおりました。これらの動機がバララントから奪取した軍の重要戦略物資強奪を決意させ、敵前逃亡に走らせたことは明白であります。これは私の推論するところでありますが、逃亡直後に小隊がバララントの機械化師団と遭遇したのは事実でありましょう。そして交戦となり、メロウリンク・アリティー伍長を除く他の者は戦死した。仲間を失い、敵地にて生命の危機を感じた伍長は原隊への復帰を企て、事実を糊塗した犯罪行為を正当化するため、先ほどの美談仕立てを創作したのでありましょう。そこにある証拠の品々は伍長が虚構の美談を演出するために持ち帰った小道具と申せます。以上の理由によって検察側は被告を有罪と判決し、シュエップス小隊にはそれ相当の求刑を行うのが妥当と思われます。」 最終論告を読むにあたり、相互の論点は明らかに食い違っており「軍の重要戦略物資強奪」についても明確に言及されていない。検察側立証を読んでも決定的な論拠を見出すことができないばかりか非常に稚拙な推論が多い。また、被告側の国選弁護士も必要最低限の弁護(あるいはそれ以下)しかしておらず、形式的な論調に終始していることから、軍上層部の一方的な裁判であったことは否めない。これらの記録が公に流出した際、冤罪を被せられたと思われるメロウリンクへの同情から、一部のメディアにより「略式軍事裁判の有効性」が問われたことは記憶に久しい。また、このころから機甲猟兵の実態が認知され、広く知られるようになったと記憶している。 しかし、この裁判の認知度が高いのはそれだけの理由ではない。裁判長が判決論旨を読み上げている途中、被告人メロウリンクが証拠となっていたシュエップス小隊全員のドッグタッグ(認識票)と対ATライフルを奪取し逃走するという驚くべき法廷劇があったのである。(これにより、法廷秩序維持法・法廷侮辱罪が新たに言い渡されている) 機甲猟兵イメージ画像。 しかし、この法廷劇はこれだけでは終わらなかったのである。 この裁判に関わった、当時の検察官及び証人達が同時期に謎の死をとげるという、なんともきな臭い事件に発展したのである。 検察側の記録にある人物は以下の通りである。 ヌメリコフ大尉(コーザシティにて死亡)、フォックス中尉(ダビング市にて死亡)、ゴルフィ曹長、ドッグマン大尉(ザキ前線基地にて死亡)、スヌーク少佐(クメンにて死亡)、バンス中尉(ドッパー市刑務所にて死亡)、ガナード少尉、ボイル少佐(コーザシティ防空基地にて死亡) 上記の8人中、ゴルフィ曹長、ガナード少尉を残す6人の死亡が確認されている。(*2) 以上の6人に加え、ヘルメシオン准将までもが殺害(コーザシティ防空基地にて死亡)された可能性が高いといわれている。(*3) この一連の犯行は、偶然というにはあまりに謎が多く、複数のグループで行われているという説や組織的陰謀説もあるが、メロウリンク一人の復讐劇であるという説が有力視されている。 これは、除隊後ダビング市のバトリング会場で「銀狐」として人気を得ていたフォックス中尉が、メロウリンクと異種格闘技戦をして殺害されたということから端を発しているようである。 このリアルバトルは、生身の人間が対ATライフル一丁でフルチューンされたATを倒したという想像しがたい試合で、当時から30年経った今でも伝説となっている。これを都市伝説と失笑している者も少なくはないが、ある情報筋により行われた徹底的な情報収集の結果「実話」であるとされている。(*4) しかしながら、これらの情報だけで「メロウリンクの復讐劇」とするにはいささか乱暴である。 まず審理後に、裁判に関わった人物の足取りを掌握することが出来るか疑問であること。 また、脱走兵が簡単に侵入することが困難と思われる基地(ザキ前線基地、コーザシティ防空基地等)での犯行が多いこと等、疑問点が多くメロウリンクの裏に黒幕がいると取れるような犯行も多い。実際、メロウリンクがメルキア将校と思われる人物と接触していたという情報もある。 この組織的陰謀説は奥深く、最近入手した情報の一つには、7229年に謎の死を遂げたバッテンタイン元帥(当時は中将)が糸を引いてたという資料までもが存在するのである。 バッテンタイン元帥の没後20年に何故このような資料が出てきたのかを考えると、非常に興味深いものがある。尚、この件に関しては今後も調査を続ける予定である。 *1 戦時における略式軍事裁判は現地軍上層部により構成されているため作戦の合間を縫って審理が行われる場合が多い。しかし7213年7月は、アンティテーツ星域にて停戦条約締結{第3次銀河大戦(俗に言う百年戦争)終結}した月でもある。そんな中、行われた一兵士(小隊)による軍の重要戦略物資強奪の略式裁判に対し、ヘルメシオン中将が有罪を促すような電話をしてくること自体異例といっていいだろう。また、この作戦を指揮したのはヘルメシオン中将であることも補足しておく。 *2 ゴルフィ曹長、ガナード少尉、は、法廷後除隊しているため行方の確認が不可能であった。また、スヌーク少佐は除隊後、クメンに渡り貴族としてクメン政府と深く関わっていたようである。 *3 コーザシティ防空基地は、バララント宇宙軍による爆撃で消滅しているため、実際に殺害されたか不明とされている。 *4 ダビング市のバトリング会場で行われた、銀狐対機甲猟兵のリアルバトルのフライヤー。機甲猟兵とされているがバトルネームがメロウリンクとかかれているところに注視して欲しい。 フライヤー画像 準備中。。 #
by mdsf-ss
| 2005-03-28 14:23
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